
活動内容
UTR(Universal Tennis Rating)

日本プロテニス協会では、2019年より、JPTA ALL JAPAN JUNIOR TENNIS TOURMANEMT U12・U14が『Universal Tennis Rating(ユニバーサル・テニス・レーティング)』の認定大会となりました。
今年度の地区選考会はこちら
参考:What is UTR?(UTR Youtube公式チャンネルより)
UTRとは:UTRはテニスの新しい評価制度
UTR(ユニバーサル・テニス・レーティング)は、年齢や性別や経済的な地位に関わらず全てのプレイヤーにとって、テニスをより身近に、手頃に、そして楽しくすることを目標に、2008年に米国で創設されたテニススキルの評価制度の1つです。その後の10年あまりで、世界中のテニス界において急激に浸透、成長してきました。
一般的なランキングとの違い
テニスにおける評価制度といえば、まず思い浮かぶのがATPやWTAといったランキング制度です。これらの制度ではポイント数によりプロプレーヤーを1位、2位、3位……と順位付けしています。
一方UTRでは、評価の尺度を1から16.50までの数値で表してスコア化することが大きな特徴です。例えば、2020年8月20日現在ではジョコビッチは16.12、ナダルは16.10といったスコアです。

ほとんどのランキング制度は獲得ポイントに応じて順位が決定されるもので、他プレイヤーに対する自身の相対的な位置を表すにとどまりますが、UTRのスコアは個々のプレイヤーの実力を数値化し算出するものなので、順位よりも正確に自分自身の実力を知ることができます。
この数値を算出するにあたって、どういった要素が影響するのか気になる所ではありますが、それについては後編でご説明したいと思います。
世界共通の指標
さらにUTRでは、その創設の目的にもある通り、プロやアマチュア、年齢や性別、国籍等に関係なく一つの枠組みの中で評価を行うことも特徴です。つまりUTRにおいては、日本のジュニア選手であっても、世界に名立たるトッププロと同じ尺度で、自身の評価を数値化し保有できるのです。
世界でのUTRの広まり
現在UTRのデータベースには1,500万以上の試合結果と200以上の国からのデータが集積されており、登録しているプレイヤーの数は全世界で180万人にも上ります。(2020年8月現在 UTR公式サイトより)
ATPやWTAの全てのプロプレイヤーはUTRを使用していますし、昨今、全米では大学などの教育・育成機関でも導入が進んでおり、トッププロを見出してきたコーチやスカウトマン達の間でも、選手を評価する際にUTRのスコアを重要視することが増えてきました。
日本プロテニス協会では2019年8月よりJPTA ALL JAPAN JUNIOR TENNIS TOURNAMENTにUTRを導入を開始しましたが、日本国内では他にも導入を進めている団体が徐々に増えているようです。
UTRの先にあるもの
それでは、UTRでの導入によって今後何が可能になるのかを見ていきましょう。
自分の成長を確認
UTRの特徴である一つの枠組みで評価を行うシステムにより、全てのテニスプレイヤーと比較して客観的に自分の上達度合いを確認することができます。
UTRに登録すると個人ページが作成され、自身の評価の確認や試合のスコアの投稿が可能となります。
他にも、地域や性別などでプレイヤーを検索したり、他のプレイヤーのUTRを表示することもできます。(下の画像はメドベージェフ選手のページを閲覧したもの)
世界大会への出場
UTRを導入している大会への出場等により自身の評価を高めることによって、エディハーやオレンジボウルといった世界大会でのシード権を獲得できたり、本戦・予選に参加できる可能性が高くなります。
アメリカへの留学
アメリカでは、ジュニア選手が大学に進学する際に、その大学のコーチやスカウトはUTRのポイントを判断材料の一つにします。UTRの評価を上げれば、アメリカへのテニス留学の道へこれまでより一歩近づくことに繋がります。
やはりUTRの導入で大きく変わることといえば、日本国内での活動であっても、UTR対応の大会に参加してレーティングを高めていけば世界を視野に入れた活動がぐっと近づく点でしょうか。
レーティングの仕組み:『認定済みUTR』と、『UTR』の違い
まずUTRには「認定済みUTR(verified UTR)」と認定されていない「UTR」という2タイプのカウントがあります。
『認定済みUTR』は、UTRの厳しい検査により認定されたトーナメントやイベントの結果のみカウントされます。こちらはATPやWTA、ITFのイベントや、各国のテニス団体公認のトーナメントなどが主です。日本プロテニス協会のJPTA ALL JAPAN JUNIOR TENNIS TOURNAMENTもUTRの認定大会です。
UTRに認定されていない大会も、練習試合や自己投稿も含めて、全ての結果を記録することが可能です。

UTRの計算方法
過去12カ月間の最大30試合のスコアを参考に、独自のアルゴリズムで算出されます。 UTRのレートは、試合ごとにウェイト(重み)を付ける計算方式で算出されるため、試合の条件によってレートに与える影響は異なります。
以下の通り、UTRでは単に試合の勝ち負けだけでなく、どのような相手とどのように試合に勝ったか、または負けたのかが判断されます。
自分と同じレートの相手と対戦した時
この場合、アルゴリズムは、あなたと対戦相手が同じ数だけゲーム数を獲得すると予測します。あなたが相手より多くゲーム数を獲得すれば、レートはさらに上がることになります。
自分より低いレートの相手と対戦した時
自分より対戦相手の方がレートが低い場合には、UTRのアルゴリズムはあなたが勝つであろうことと、そのゲーム数まで予想しています。
たとえば6-2、6-2というゲーム数であなたが勝つとアルゴリズムが予想していた場合、6-1、6-1といったより良いゲーム数で勝つとUTRの評価はさらに上昇することになります。

自分より高いレートの相手と対戦した時
対戦相手の方がレートが高い場合、UTRのアルゴリズムはあなたが負けることと、そのゲーム数を予想します。
6-3、6-3で負けると予想されていた場合、6-4、6-4といったスコアで負ければ評価は上昇します。

ウェイトに影響する要素
UTRの計算は、一定の条件に基づきウェイトをつける方法で行うことをご説明してきました。 上記で説明した対戦相手のレートの高低の他にも、以下の4項目が影響します。
試合形式
より長い試合形式ほど、ウェイトは大きくなります。そのため、例えば3セットマッチよりも5セットマッチの試合の方が計算時のウェイトは大きくなります。
競争力
プレイヤー同士のレートが近いほどウェイトは大きくなり、レートの差が大きくなるほどウェイトは小さくなります。つまり実力の近い相手との対戦ほどレートの計算に大きく影響します。
信頼性
対戦相手のUTRの信頼性が高いほど、受け取るウェイトも大きくなります。 頻繁に対戦していたり、信頼性の高いUTRを持っている対戦相手との試合ほど、レートの計算に大きく影響します。
時間経過による低下
試合から時間が経つほどその結果のウェイトは小さくなっていき、過去数カ月のあいだに行われた試合など、より新しい試合の方がウェイトが大きくなります。
UTRのレートを高める方法は?
UTRの計算方法や、計算に重要な要素をご説明してきましたが、最後にレートを高めるために日頃のプレイで気を付けるポイントをご説明します。
よく競うこと
UTRを改善するための最良の方法は、よく競い合い、できるだけ多くのゲームに勝つことです。 対戦相手のレートが自分より高いか低いかに関わらず、UTRのアルゴリズムが予測するよりも多くのゲーム数に勝つことがUTRを向上させます。
頻繁にプレイすること
頻繁に、より多くの試合に参加するほど、UTRには素早く結果が反映されます。 評価を改善するためには、やはりレートの近い対戦相手ほど効果があります。
根気良く待つこと
UTRの算出方法では、新しい結果が反映されるまでややタイムラグがあります。 結果が反映されるまで少し待つことも必要です。
JPTA UTR認定大会 U16・U18
UTR(ユニバーサルテニスレイティング)はテニスプレーヤーの実力を客観的かつ国際的に評価するシステムです。
UTR認定のU16とU18の大会になります。
U14まで記録された自分の成長記録の延長線上にさらなるステップアップや海外の大学進学を視野に入れ成長し続けることを目指してもらいたいという想いから、U16とU18のカテゴリーを開催する事といたしました。全国大会はございませんが、各大会に参加するとUTRの評価対象として、戦績が記録されていきます。
よくある質問と回答
UTRが低い対戦相手と対戦するとどのような影響がありますか?もしくはUTRが高い相手との場合はどのようになりますか?
レーティングの低い対戦相手と対戦しても、UTRに悪影響を与えるとは限りません。より評価を向上させることが出来る場合もあります。自分より高い評価の相手と対戦する場合も同様です。 対戦による影響は、勝ったゲームの割合と、対戦相手とのUTRの差によって異なります。予想以上の結果が得られればUTRは上昇し、予想より悪い場合UTRは低下します。
最近試合をしていないのに、評価が変わりました。なぜですか?
UTRは毎日再計算されます。変更(アップまたはダウン)が発生する理由はいくつか考えられます。評価されていない予測されていないプレイヤーとプレイしたが、プレイを重ねることでそのレーティングの信頼性が向上した可能性があります。
12か月以上前のスコアが記録から落ちました。また一部の試合結果がUTRにカウントされないのはなぜですか?
アルゴリズムは、以下の試合を除外します。
・試合が始まる前にプレイヤーがウィズドローした。
・試合は開始したが、どちらのプレイヤーも4ゲーム取得前に何らかの理由で試合が終了した。
・UTRが2.00以上の差があった場合。
これらの除外された試合は、プレイヤーのプロファイルに引き続き表示されますが、評価の計算には使用されません。
アルゴリズムが、UTRの差が2.00を超える試合を除外するのはなぜですか?
UTRの差が大きくなると、評価の高いプレイヤーが簡単に勝てる可能性が高くなります。UTRのデータでは、UTRの差が2.00を超える試合が大差で決着がつくことをほぼ確実に示しています。このような結果は、いずれかのプレイヤーのスキルレベルを示すものではなく、アルゴリズムによって除外されます。
UTRの差が2.00を超える試合は、UTRにカウントされますか?
以下のようなケースの場合カウントされます。
レーティングの低いプレイヤーが勝った場合、この結果は各プレイヤーのレーティングにカウントされます。UTR5.21がUTR7.61に勝った場合は試合結果がカウントされますが、UTR7.61がUTR5.21に対して勝利した試合はカウントされません。
タイブレイクはアルゴリズムによってどのようにカウントされますか?
タイブレイクは1つのゲームとしてカウントします。3セット目の10ポイントマッチタイブレイクは2ゲームとしてカウントされます。
主催者、コーチは、競争力があると思われる試合のみ入力すべきですか?
主催者、コーチはすべての試合を入力する必要があります。そうしないと、アルゴリズムが正確にならない可能性があります。このアルゴリズムでは、UTRの差が2.00より大きい対戦相手間との試合など、適格でない試合は自動的に無視されます。
UTRは、ウォークオーバー、リタイア、ウィズドロー、およびデフォルトの場合どのように対処しますか?
UTRは純粋にスコアに基づいているため、デフォルトやウォークオーバーはカウントされません。プレイヤーが1試合開始前、または2試合中、いずれかのプレイヤーが少なくとも4ゲーム取得前に中止となった場合、UTRアルゴリズムはそれをカウントしません。ただし、これらの結果は他のスコアとともにプレイヤーのプロフィールページに表示されます。
アルゴリズムが30試合でカウントするのはなぜですか?30件以上の試合がある場合はどうなりますか?
目標は、長期間持続するプレイレベルと最近の傾向のバランスをとることです。30試合で、長期と最近のバランスが最も良くなります。過去12か月間に40試合をプレイした場合、アルゴリズムは最新の30試合を使用します。過去12か月間に10試合のみをプレイした場合、アルゴリズムはそれらの10試合を使用します。30は単に使用される最大値です。
評価の計算に30を超える試合が使用される場合があるのはなぜですか?
最新の30番目の試合が31番目の最新の試合と同じ日に行われた場合、アルゴリズムは保持するものを決定しようとしません。それは両方を保持します。次の試合が追加されると、一緒に落ちます。
アルゴリズムはダブルスに対してどのようになりますか?
シングルとダブルスのアルゴリズムは非常に似ています。ダブルスの場合、アルゴリズムはチームAの平均UTRをチームBの平均UTRと比較します。これらの2つの平均のUTRの差を考えると、アルゴリズムは、一定の割合の勝ったゲームを期待します。アルゴリズムの予想よりも優れたパフォーマンスを発揮するチームには、マッチレーティングが上がります。どちらのチームメイトも同じ量だけ増減します。
評価が正確に見えない場合、変更できますか?
評価はコンピュータ化されたアルゴリズムによって自動的に生成され、手動で変更することはできません。ただし評価に影響を与える可能性のある、記録の誤ったスコアや欠落しているスコアを追加または編集することは出来ます。